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生成AIに社内の情報を入力するときの注意点:線引きの考え方と設定の確認
結論から言うと、生成AIに社内の情報を入力する前に決めておきたいのは、「どの情報なら入れてよいか」の線引きと、使うサービスが入力内容をどう扱うかの確認の2つです。とくに、お客様の個人情報や取引先から預かった情報は、入力する前に立ち止まる必要があります。この記事では、情報の分け方、公的な注意喚起の内容、主なサービスの設定の確認ポイント、社内ルールのまとめ方を順に紹介します。
ChatGPTで試しやすい業務については、小さな会社のChatGPT活用:まず試したい業務5つと始める前のルールで紹介しています。今回はその中の「入力してよい情報」の部分を詳しく扱います。
社内の情報は3段階に分けて考える
「機密情報は入力しない」というルールだけでは、現場で迷いが出やすくなります。そこで、社内の情報をおおまかに3段階に分けておくと判断しやすくなります。
| 段階 | 例 | 生成AIへの入力 |
|---|---|---|
| 公開済みの情報 | Webサイトに載せている会社概要、営業時間、公開済みのお知らせ | 入力してよい |
| 社内向けの情報 | 社内マニュアル、会議メモ、未公開の企画案 | 設定や契約を確認したうえで、必要な部分だけ |
| 外に出してはいけない情報 | お客様の氏名・連絡先、取引先との契約内容、従業員の個人情報、パスワード | 原則として入力しない |
真ん中の「社内向けの情報」は、固有名詞を「A社」「Bさん」に置き換える、数字を伏せるなど、入力する前に情報を減らす工夫をすると扱いやすくなります。生成AIに頼みたいのは多くの場合「文章の形を整える」「要点をまとめる」ことなので、具体的な名前や金額がなくても目的を果たせることがよくあります。
また、取引先から預かった資料は、秘密保持契約(NDA)などで扱い方が決められていることがあります。外部のサービスに入力してよいかは、契約の内容を確認してから判断しましょう。
個人情報を入力するときに確認したいこと
個人情報保護委員会は、2023年6月に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。事業者向けの注意点として、主に次の2点が示されています。
- 個人情報を含むプロンプト(AIへの指示文)を入力する場合は、その個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内かどうかを十分に確認すること
- 本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。そのため、サービス提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないことなどを十分に確認すること
つまり、お客様の情報を入力する場合は、**「その使い方は、お客様に伝えている利用目的の範囲か」と「入力したデータが学習などに使われないか」**の両方を確認する必要がある、ということです。利用目的の書き方については、小規模サイトにもプライバシーポリシーが必要な理由と載せたい項目も参考にしてください。
なお、ここで紹介したのは一般的な考え方です。個別のケースで判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
使うサービスの設定を確認する
入力した内容がどう扱われるかは、サービスやプラン、設定によって異なります。ここでは代表的な2つのサービスについて、公式ヘルプに書かれている内容を紹介します。仕様は変わることがあるため、使う前に公式ページで最新の内容を確認してください。
ChatGPT
ChatGPTには「一時チャット」という機能があります。公式ヘルプによると、一時チャットはモデルの改善には使用されず、チャット履歴にも表示されません。ただし、安全上の目的でコピーが最大30日間保持される場合があるとされています(OpenAI ヘルプ:一時チャット FAQ)。通常のチャットの学習設定については、前回の記事で紹介した内容もあわせて確認してください。
Gemini
Googleの公式ヘルプでは、Geminiアプリの「アクティビティ」の保存をオフにすると、今後のチャットはAIモデルのトレーニングに使用されないと説明されています。一方で、オフにしてもチャットは72時間保存されること、サービス改良のために人間のレビュアーがチャットの一部を確認する場合があることも書かれています。そのうえで、レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう案内しています(Gemini アプリのプライバシー ハブ)。
また、仕事用のGoogleアカウント(Google Workspace)で使う場合は、別の規約が適用される場合があるとされています。
このように、「学習に使われない設定」にしても、一定期間は保存されることがある点は覚えておきたいところです。設定を変えれば何を入力してもよい、というわけではありません。
社内ルールは1枚にまとめる
小さな会社では、細かい規程を作るよりも、次のような内容を1枚にまとめて共有するほうが運用しやすくなります。
- 使ってよいサービスとプラン(例:会社で契約した法人向けプランのみ、など)
- 入力しない情報の具体例(お客様の氏名・連絡先、取引先の資料、パスワードなど)
- 入力前のひと手間(固有名詞を置き換える、必要な部分だけ抜き出す)
- 設定の確認(学習への利用設定、一時チャットなどの機能)
- 迷ったときの相談先(社内の誰に聞くか)
「迷ったら入力しない、または相談する」を基本にしておくと、判断がぶれにくくなります。サービスの仕様が変わることもあるため、半年に一度など、見直す時期も決めておくと安心です。
まとめ
- 社内の情報は「公開済み」「社内向け」「外に出してはいけない」の3段階に分けて考える
- 個人情報を入力する場合は、利用目的の範囲内か、学習などに使われないかを確認する(個人情報保護委員会の注意喚起)
- 学習に使われない設定でも、一定期間保存されることがある。使うサービスの公式ヘルプで確認する
- 社内ルールは1枚にまとめ、「迷ったら入力しない・相談する」を基本にする
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